グミ。

せっかくなので小ネタでも。
グミと手袋の話。

「ティトレイ」
戦闘後に名前を呼ばれ振り返ると、袋を差し出される。
中にはグミがいくつか入っている。食べろということらしい。
サンキュ、と受け取ろうとしてふと自分の手を見た。
先ほどの戦いでかなり手を汚してしまっている。手袋でこのままとってしまったら汚れるだろう。
でも今ここではずしてまたはめるのは少し面倒くさい。
後ででいいと思い、いらないと首を横に振ると彼は不思議そうにこちらを見る。
「手、こんなだし。後で」
手を見せるとああ、と小さくうなづく。そして何を思ったのか自分の手袋を外して紙袋から一つグミを出し、こちらの口元へも持ってきた。
「食え」
遠慮はするなという彼の言葉に苦笑する。
勧められるままにグミを彼の指ごと口に含む。指先をぺろりと舐めると慌てて指を抜かれてしまった。
「ごちそーさん」
「このっ・・・おまえは！！！」
自分の言葉に真っ赤になりながら人をからかうなと叫んで皆の所へと行ってしまう。
その後ろ姿をみながらからかいすぎたかなと少し反省し、口の中のグミを飲み込む。
やわらかいそれは、彼の好きな桃の味がした。


おわり。
指とか手とか好きだな私。